「星のや 軽井沢」のテーマである日本の集落。それは日本人の誰もが懐かしさと新しさを感じる「日本の風景」であり、それを具現化する設計を考えました。集落のように建物が点在し、路地がそのひとつひとつを結び、集落の真ん中には川が流れます。建物は土塗壁風のどっしりとした外観と黒い下見板の木造。軽井沢の四季折々の自然と集落全体の風景を楽しむため、どの客室にも広いテラスか広縁をつくりました。
客室は基本的に眠るための部屋となっている日本の旅館やリゾートホテル。星のや 軽井沢では、日本人が本当にくつろげる場はどのような空間なのだろうと考え、設計にこだわりました。客室では、「床座リビング」を提案、ベンチソファのあるリビング、いずれも広縁やテラスへとつながっています。浴室には大きな窓を配し、客室によっては庭やテラスに出られるなど、一日中滞在したくなる客室をデザインしています。
どの客室もアプローチが異なり、オリジナルの玄関を持つ、独立性の高い造り。また、数十種類のプランバリエーションで、お好みの客室を選べる設計ですから77軒の住宅を一気につくった感覚です。これは日本では初めての試みであり、世界でも稀だと思います。さらに路地を散策しながら「集いの館」のラウンジにおいでいただくと、そこには、星のや 軽井沢 全体のリビングとしてのくつろぎ空間を創り出してあります。
私にとって「星のや 軽井沢」は、大きなチャレンジであり、今まで考えてきたことを形にできたという意味ではひとつの夢の達成だと思っています。
日本女子大学卒、東京大学大学院、米国コーネル大学大学院を修了。1986年より東環境・建築研究所代表取締役、現在に至る。日本女子大、昭和女子大、非常勤講師。
主な作品
大原のアトリエ、阿佐ヶ谷の家、Kフラット、下総中山の家、ホテルブレストンコート(以上 東孝光との共同設計)、星野温泉/トンボの湯、村民食堂ほか。
主な著書
塔の家白書。収納のデザインと工夫ほか。